オタク「……ん? なんだお前!?」
?「しまった!」
オタク「妙な格好して……泥棒か!?」
?「いえ、私は未来人……200年後の未来から来ました」
オタク「未来人~?」
未来人「この時代に旅行に来てたのですが、うっかり不可視スーツの機能をオフにしてしまって……」
オタク「……」
オタク(なんでだろう。なぜか嘘をいってるようには見えない……)
引用元: ・オタク「未来人と出会って、200年後の未来に行くことになったぞ!」
未来人「私に会ったことはどうかご内密に……」
オタク「まぁいいだろう」
未来人「ありがとうございます」
オタク「ただし、一つ条件がある」
未来人「え」
オタク「ボクを君にいた時代に連れてってくれ! 未来を見学させてくれ!」
未来人「なんですって!?」
オタク「こんなことになったのは君のミスが原因なんだ。これぐらい要求する権利はあるだろう?」
未来人「まぁ、少しだけならいいでしょう」
オタク「やった!」
未来人「ただし、私の時代で見たことは決して口外しないで下さいね」
オタク「分かってる、分かってる。こう見えても口は堅いんだ」
未来人「ではさっそく……私の時代へワープします!」
バシュゥゥゥゥゥゥ…
…………
……
オタク「……ん」
オタク「ここが……200年後の未来?」
未来人「そうです。2220年の日本です」
オタク「ドラえもんもとっくに完成してるなぁ」
オタク「だけどあと2年未来に飛ばしてくれれば、2222年でゾロ目だったのに。気がきかないなぁ」
未来人「私のいた時代がここなんですから、ワガママいわないで下さい」
未来人「それではさっそく、この時代を案内しますよ」
オタク「うん、よろしく頼むよ」
オタク「ビルの形が洗練されてるね。未来って感じだ」
未来人「建築技術も大革新がありましてね。今の建物は震度7の地震でもビクともしません」
オタク「へぇ~」
オタク「それと……空気が綺麗だ。息してるだけで体が綺麗になるっていうか」
未来人「新しいエネルギーが開発され、もはや空気を汚すことはなくなりました」
未来人「それに巨大な空気清浄機が常に空気をクリーンにしてくれています」
オタク「どうりで……今のうちに呼吸しとこ」スーハースーハー
オタク「あ、そういえばコロナはどうなったの?」
未来人「コロナ?」
オタク「えーと、ちょうどボクがいた時代に猛威を振るってたウイルスなんだけど」
未来人「この時代にもう病気なんてありませんよ」
オタク「え、そうなの?」
未来人「万能ワクチンが開発されましてね。もはやあらゆるウイルスや病原菌は過去のものです」
オタク「そのワクチン、持ち帰っちゃダメ? ノーベル賞もらえるかも……」
未来人「ダメに決まってるでしょう」
オタク「ちぇっ」
バシュゥゥゥゥゥ…
オタク「あれ、なんか飛んでいった」
未来人「あれは宇宙に行く自家用ジェットですね」
オタク「個人で宇宙に行けるの!?」
未来人「はい、22世紀に開発された航法で、宇宙開発が一気に進みましてね」
未来人「今や気軽に宇宙旅行できる時代ですよ。月面ぐらいなら散歩する感覚で行けます」
未来人「おかげで資源や領土にも困らなくなったので、戦争もなくなりました」
オタク「地球上でチマチマ争う必要ないもんなぁ……」
未来人「宇宙開発に関してはルールを厳格にしましたしね。今のところよく守られています」
オタク「……さて、前座はこれぐらいでいいだろう」
未来人「?」
オタク「ボクはね……なにもこんな未来の情勢を見に、200年後行きを希望したわけじゃないんだ」
未来人「じゃあいったい、何を見たいんです?」
オタク「決まってるだろ。未来のオタ文化を見たいんだよ!」
オタク「アニメや漫画やゲームがどうなってるか、見たいんだよぉぉぉぉぉ!!!」
未来人「わ、分かりました。ではオタクの古都・秋葉原へ参りましょう」
オタク「古都扱いなんだ……」
未来人「23世紀の秋葉原です」
オタク「ふーむ……だいぶ変わったけど、面影あるっちゃあるねえ」
未来人「オタクの古都として、なるべく昔のまま残そうという運動がありましてね」
オタク「へぇ~」
未来人「あ、あそこの子供達はカードゲームをやってますよ」
オタク「え、どんな感じなの?」
少年A「いっけーっ!」サッ
ドラゴン「ギャオォォォォォン!」
少年B「僕のターン!」サッ
オーガ「グオオオオオッ!」
オタク「すごい! カードを出すたびモンスターが出てくるのか!」
未来人「ええ、本物同然の立体映像でド迫力のバトルを楽しめますよ」
オタク「完全に遊戯王の世界じゃないか!」
未来人「こちらは23世紀のゲームショップです」
オタク「よかったー、まだゲームは残ってるんだ」
オタク「あ、これマリオだ! こっちはゼルダ! ポケモン……」
オタク「FFにドラクエも……! どれも現役なんだ!」
未来人「どのゲームも本当に自分がその世界にいるような臨場感を味わえますよ」
未来人「ちなみに今は大昔のタイトルをリメイクするのがブームです」
オタク「やってることはボクがいた時代とあまり変わらないね……」
シュゴォォォォォ… ブッピガン…
オタク「あ、ガンダムが飛んでる」
未来人「あれはプラモですよ」
オタク「プラモ!?」
未来人「宇宙に行って、実際に戦うことも可能ですよ。ロボットによるサバイバルゲームは大人気ですし」
オタク「この時代のサバゲーはスケールが違う……」
オタク「ところでさ……」モジモジ
未来人「はい?」
オタク「23世紀にも美少女ゲームってあるの……?」
未来人「ありますよ、もちろん」
オタク「ホント!?」
未来人「あっちにガチャを引ける端末がありますから、一緒に行きましょうか」
オタク「はいっ!」
未来人「このカードを使えば、四回ガチャれます」
オタク「使っていいの?」
未来人「どうぞ、私はやり尽くしてしまったゲームですし」
オタク「君もなかなかのオタクなんだね」
オタク「じゃあ……一回目!」
シュィィィィィン…
金髪女「ハァ~イ」
オタク「うわっ……!」
未来人「おっ、いきなりこの子を引けるとは。なかなかラッキーですね。かなりのレアキャラですよ」
オタク「ホント?」
オタク(どうせ立体映像なんだろうけど……)サワッ
金髪女「いやぁん」
オタク「え?」
オタク「さわれるの!?」
未来人「さわれますよ。でないと、何も面白くないでしょう」
オタク「このゲーム……最高だァ!」
オタク「よーし、もう一回……」
シュィィィィン…
メイド「初めまして、ご主人様!」
オタク「今度はメイド出た!」
メイド「あなたのために尽くします」ウフッ
オタク「うひょ~、尽くして尽くして!」
未来人「本当に引きがいいですね、この子もなかなか出ないんです」
オタク「三回目だ!」
黒髪女「ふん、私に用か?」ファサッ
オタク「あー、また可愛い子出てきた!」
金髪女「誰と遊ぶの?」
メイド「ご奉仕いたします!」
黒髪女「私なら準備OKだぞ」
オタク「そりゃもちろん……みんなと遊ぶぅ~!」バッ
金髪女「もっと甘えていいのよぉ~」
メイド「ご主人様~!」
黒髪女「お前は最高の男だ……」
オタク「むひひひ……」
未来人「いかがです?」
オタク「最高だよ! 23世紀に来てよかったぁ~!」
未来人「それはよかった」
未来人「どの子がお好みで?」
オタク「みんないいけど……特にこの子がいいかなぁ~」ナデナデ
黒髪女「ふん……感謝はしないぞ」ポッ
未来人「可愛いでしょう」
オタク「うん!」スリスリ
未来人「菅義偉ちゃん」
オタク「え?」
オタク「菅義偉ちゃん……って、え?」
オタク「じゃあ、このメイドさんは?」
未来人「安倍晋三ちゃん」
オタク「な……! こっちの子は?」
未来人「鳩山由紀夫ちゃん」
オタク「……!」
未来人「他にも色んな子がいますよ。ほら、カタログです」
未来人「今はちょうど20世紀から21世紀初頭あたりの総理大臣の女体化がブームなんですよ」
オタク「えええ……!?」
未来人「なに動揺してるんです? 21世紀からやってたでしょう? 昔の有名人の女体化なんて」
黒髪女「どうした? もっと私にGoToしてくれ」
メイド「ご主人様に忖度します!」
金髪女「私の友愛……受け止めて」
オタク「ひっ!」
三人「どうしたの? さぁ……」
オタク「うわああああああああ……!!!」
…………
……
オタク「ハァ、ハァ、ハァ……!」
オタク「ここは……ボクの部屋だ……」
オタク「今のは全て夢だったのか……?」
オタク(ん? 何かがポケットに……?)
オタク「このカードは……さっきもらった……? ってことは……」
オタク「……」
友「あ、ニュースやってる。総理が出てるぞ」
オタク「総理!?」
オタク「チャンネル変えてくれえええ!」
友「ど、どうした? 嫌なことでもあったのか?」
オタク「あったというか……遠い未来に起こるというか……」
友「はぁ?」
END
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